91/11/22 22:04:28 MIHATA  高岳山・野道山・大蔵ケ岳
 
 見明先生のまとめられた文の一部です。KiT阿東町を作る際に打ち込みました。
 
【高岳山・野道山】                               
 阿東町と島根県柿木村・山口県徳地町との境には1000m級の山々を連ねています。
主な山には長門部で一番高い高岳山(1040.7)をはじめとして三ツ頭山(969.
6)、野道山(942.2m)があります。この地方では、海抜700mから上部が植物
分布上のいわゆるブナ林に属しており、高岳山・野道山一帯にはブナ林が発達しています。
現在は手が加わっていませんが、一部にその林分が残存していて、ここにはブナ林帯特有
の植物を豊富に産します。                           
 高岳山・野道山の植物で今一つ注目されることは、西日本固有の植物を数多く産してい
ることです。その主なものに、ベニドウダン・ツリガネツツジ・ダイセンミツバツツジ・
ヨシノアザミ・ツクシミカエリソウ・ヨシノアザミ・ツクシガシワ・タイリンアオイ
ツクシミノボロスケがあります。                         
 このことは、この産地が長い間植物達のよい住みやすい環境を維持してきたことを裏づ
けるものです。地球上で「西日本」といった限られた地域にしか分布していないこれらの
植物を、私達の世代で絶滅さすことのないようにしなければなりません。       
                                        
【大蔵ケ岳】                                  
 地福の大蔵岳(834・4m)は山頂部に自然度の高いチマキザサの群落を保存し、谷
筋には北方系(温帯性)の植物をなどを産しています。               
 昭和24年10月16日には、当時、国立科学博物館館長であった中井猛之進(山口県
出身)がここの植物を調査され、この時の植物標本を基づいて次のような新植物を発表さ
れました。                                   
 ナガバユウガギク  シロバナカントウヨメナ  ヒロハヒメオケラ        
 ホソバヒメオケラ ジフクザサ                         
 中井博士による大蔵岳の植物調査は、阿東町の自然研究史に残ることがらで、この時に
検出された「地福ザサ」は、現在も大蔵岳の麓に繁茂しています。         
                                 

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