91/03/24 07:34:57 くろ   個人研究 自己評価表
 
 今年1年のことをまとめてみました。あまりたいしたことができなかったので
恥ずかしいのですが、1つの句切りとしてここに自分用として登録させていただ
きます。(なお資料や例については機会があれば紹介します)
-----------------------------------------------------------------------------
 
  <個人研究>     教科における自己評価表の取り組み      H3 3 
                       柚野中学校教諭  御幡正章    
T はじめに                                  
  本校の活性化の構想に従う時に、教師の指導・助言のもとに、生徒が自らを評価する
 ことは次の点で価値のあることと考える。                    
 (1)自己をみつめ、自己の足りない部分を見出すことにつながる。このことによって
    得られる葛藤が生徒の人間形成のマンネリ化を防ぎ成長の糧となる。     
 (2)他律的な行動を自律的な行動に変換する機会を提供し、活性化の一つのステップ
    として有意義である。                          
 (3)常にある行動をした場合には、自らを振り返ってみるという習慣を育てるために
    有効である。                              
 (4)その活動や学習に対する達成度を自ら判定することにより目標に対する理解を深
    そさせることが可能である。                       
  以上のように考え、生徒の自己評価について取り組むことにした。        
                                        
U 評価に関しての一般的な定義                         
  教育における評価とは、教育目標の達成度を判断する仕方をあらわしている。この評
 価は、その目的によって診断的評価・形成的評価・総括的評価に分けられている。  
  それぞれの評価について以下のように定義されている。             
 〔診断的評価〕                                
   個別の生徒の実態を把握し、指導計画を立案するための評価である。一般に知能テ
  スト、性格テスト、意欲テストなどにより総合的に生徒の個別的実態を把握する。 
 〔形成的評価〕                                
   学習指導過程において、各教授目標(学習要素)ごとに、その習得状況を把握し、
  生徒自身の学習活動を調整し、強化を促進するとともに教授者としては指導上の資料
  として教授活動を確認し修正することを目的とする。個別対応学習には最も大切なも
  のである。                                 
 〔総括的評価〕                                
   学期末や学年末、あるいは上位の教育目標が達成したと思われる時、最終的な学習
  成果を総括的に評価することをいう。学習成績の予想、受験成績の予測にも大切なテ
  ストであり、従来テストといえば、この総括的評価を意味している。       
                                        
V 研究の進め方                                
  自己評価についての考察を進めるために、教科内でサンプルを採集することにした。
 具体的には、自己評価表を作成することとし、その結果教師側で得られるものと生徒側
 で得られるものを分けてみた。                         
  〔教師側〕                                 
   ・生徒がどのように予習し、また復習しているのかのデータ          
   ・授業に関して、継続して、どのような取り組みをしているのかのデータ    
   ・授業に対して、生徒個々がどのような感想をもっているのか、またどのような部
    分に注目したのかというデータ                      
  〔生徒側〕                                 
   ・予習や復習など、やった部分の長期的なデータ               
   ・自分の授業への取り組み方について長期的データ              
   ・疑問への答                               
   ・反省点の洗い出しと、過去の反省事項のデータ               
                                        
  このような内容で自己評価表を作成し、問題点については、評価表上あるいは直接指
  導することで解決をはかることにした。                    
                                        
W 自己評価表について配慮事項                         
  評価の分類としては、先に述べた形成的評価の内容をたぶんに含ませてみた。   
  また構成にあたっては次の点について配慮した。                
                                        
  ・普通授業内には、その単元の内容を教えるのに手一杯であり、評価のための時間を
   とることが難しいと予想される。従って、なるべく記入が簡単なようにした。  
  ・各評価項目については頭文字を枠内に記入し、○をつけさせるようにした。   
  ・評価の観点が実施時に覚えられるように、評価項目が常に目にふれるようにした。
  ・取り組みなどの主観的評価は煩雑にならないように3段階とした。       
                                        
  実施にあたっては次のような点に配慮した。                  
                                        
  ・生徒の感想などについては時間的な余裕がある場合には教師側の感想も付け加える
   ようにする。                               
  ・連続して見れるように、一枚一枚を張り合わせておくようにした。       
  ・テストが終了した時には、そのテストについての反省を書かせた。       
  ・区切りがついた時には、それまでの記録をもとに反省を書かせるようにした。  
  ・反省を書かせる時には、前の反省を点検してから書かせるようにした。     
                                        
  次に、実際に作成した自己評価表の形式を示すことにする。           
                                        
                                        
 〔作成した自己評価表の形式〕                         
------------------------------------------------------------------------------ 
 授 業 記 録            〔   〕 年 〔         〕 
 〔復習・予習欄〕                               
  教(教科書を読んだ) ノ(ノートの整理)  資(資料集を見た)計(計算練習)
  暗(重要語句の暗記) 他(自由研究など)                  
 〔授業欄〕                                  
  ノ(黒板を移す以外にメモもした) 発(発言・発表をした) 質(質問をした) 
  協(他の人と協力できた) 参(友達の意見が参考になった)          
 〔取り組み欄〕                                
  A がんばった B まあまあ C 良くなかった・反省している        
 〔理解度〕                                  
  A 予習していてよくわかった B わかった C 少しわからない D わからな
  い                                     
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・日付・復習・予習 ・ 授業  ・取組・理解・感想・発見・疑問・伝言等    ・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・ / ・教ノ資計暗他・ノ発質協参・  ・  ・                ・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・ / ・教ノ資計暗他・ノ発質協参・  ・  ・                ・
                                        
 〔実際の記入例〕                               
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・                                      ・
・                                      ・
・                                      ・
・                                      ・
・                                      ・
・                図                     ・
・                                      ・
・                                      ・
・                                      ・
・                                      ・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
                                        
                                        
 〔反省の例 男子〕                              
  2学期末                                  
  予習・復習などをやろうと目標は立てたが実行できなかった。パソコンを使った授業
  は楽しい。時々、ふざけたことを言うことがあった。期末テスト・中間テストなどの
  テスト週間以外は家庭学習ができなかった。                  
  3学期末                                  
  予習は出来なかったが、時々自主学習ノートで今日ならったところを復習していたの
  で良かった。あまりふざけたことを言わなかったのでよかった。学年末テストがだい
  ぶ悪かったので、まだ勉強が足りないと思う。来年は、もう少し勉強時間をふやして
  いきたい。                                 
   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・   
  感想の欄には、それぞれ生徒の個性的な文が出て、理科に関すること以外にも参考に
  なることが多かった。いくつか紹介する。                   
  ・おひさしぶりのヨウ素液くんでした。・地震の時死ぬならトイレより地下の方がま
  しですよー ・地層、お話を作った。昔話みたいなの              
  ・磁界の変化をさまたげる向きにコイルに磁界が生じることがわかった。・記号って
  単純だけどよく考えてあるなーと思った。・植物も生きているんだな ・低気圧と高
  気圧があんなふうに出来ているなんて、 よく覚えておこう ・乾湿計ってけっこう
  簡単にできるんだな 考えた人はすごい ・解き方が難しい!!         
  ・面白い覚え方で、しっかりと覚えようと思う。・太陽の大きさにびっくり!   
  ・テストの解説をしてもらったら、なーんだ、そんなことかとだんだん分かるところ
   が多かったのがクヤシー ・フラスコを振ったらなんで中心がへこむんですか  
                                        
X 反省と考察                                 
   教師の側としては、生徒の反応や心の動き、また理解度など参考になることが多か
  った。また、生徒の側としては、反省する時点で参考となるデータがあり、個々の問
  題点について反省することができている。                   
   問題点として、予習や復習の欄が設けてあるが、連続して悪くても改善出来ていな
  いことが見られた。これについては、教師側からの指導を行い改善されたが時間がた
  つとまた見られた。これは反省がその時点で終わっていることを示している。原因と
  しては、教師の側も、常に授業が終わってから評価の時間をとれるとはかぎらずに飛
  び飛びになっていたことが一つの原因と考えている。              
   今後は授業を計画的に運営し、自己評価の時間を得ることと、得られた自己評価を
  個々の生徒に対しての個別指導の中に生かす手立てを図る必要があるように考える。
   他に、評価の観点中にわかったという項目について、教師の目標とするもののうち
  で何が理解できたかという部分をより明確にする手立てを工夫してみたい。    
●資料 まとめの反省(4名分) 理科の学習ガイダンス用プリント         
                                        

松下村塾 Yicin-Net
■もどる inserted by FC2 system